社会環境論とは


☆研究・教育のねらい

 社会とは一人ひとりの人間の集合体であり、それぞれの主体的営為によって動かされるべきものです。ところが、われわれが生きている現代の社会をみわたすと、そうした努力にも関わらず、一人ひとりの人間が本来めざしているはずの「幸せ」からはどんどん遠ざかっていく、そんな矛盾がいろいろと見いだされます。人間の自由な発達が疎外されるこうした状況は、たとえば「核兵器と戦争」「低開発と飢餓・人口爆発」「環境と生態系の破壊」「性や人種による差別」「経済的合理性と管理主義による人間性の浸食」等々、様様な分野に具体的に現れているといえましょう。それら一つひとつが、私たち人間が、自らの社会をコントロールできず、破局に向かってまっしぐらに突き進んでいることを教えているかのようです。

 しかしその一方で、このような矛盾にみちた人類社会を創りかえ、社会を本当の意味で「発展(development)」させていくのも、究極的にはやはり、一人ひとりの人間の「発達(development)」とそれに基づく社会的営為、そしてその輻輳としての「類」的発達にほかなりません。今日ほど、人類が、自らの生存をかけ、これらの危機を作り出した自分自身をあらためて問い直し、自己変革=社会変革をすすめていくことが求められている時代はないでしょう。

 「社会環境論」とは、このような人間発達と社会発展の相互連関を根底的に解明することをめざした社会に関する新しい科学です。その目的は、一人ひとりの人間の発達を基軸にすえながら、世界規模で進む歴史的な変動の内在論理を解明し、あるべき方向を模索することにあるともいえます。こうした新たな科学を構築するためには、経済学・社会学・歴史学・人文地理学・政治学・法律学・社会思想史学等、既存の諸科学の知見を十分にふまえつつ、さらにそれらの限界を突破していかなければなりません。この困難ではあるけれども、やりがいのある人類的な知の革新に、みなさんとともに取り組み、お互いに「発達」していきたいと思っています。


【内 容】


 人間発達に関わる現代の社会環境は、国際化・情報化・高齢化の進展、 環境問題の深刻化等とともに、急速な変化にみまわれている。社会環境の変化 は、自然科学の研究にあわせて、人間・社会と自然の相互作用、また人問の発 達と社会環境の諸関連を考察し、社会諸科学を学際的・総合的に発展させる課 題を提起している。


 本コースでは、社会環境の地域的比較視点を生かしつつ、社会環境を内的構造、 歴史的変動の諸側面から具体的に探究し、そこでの規範・秩序の検討を進める ことを目的とする。そして、社会科学における従来の研究成果を継承しながら、 人間の発達環境としての社会の在り方について教育・研究を行う。


2008年7月16日更新

大学院・社会環境論のページへ