阪急西宮北口駅周辺地区の都市再開発 −アクタ西宮の事例−

                                松崎風雅 澤ゼミ

【章構成】
序文─問題意識として   
第1章 本文の構成
第2章 都市開発における従来の研究
    1)現代都市開発における理論・歴史的視点   
    2)西宮市、西宮北口周辺の諸特性について   
    3)研究方法   
    4)阪急川西能勢口駅周辺の再開発との比較検証   
第3章 西宮市民の『ACTA西宮』に関する意識
    1)意識調査アンケートの概要   
    2)世代別比較研究   
      a)10代、20代の特徴   b)30代の特徴   c)40代の特徴   d)50代の特徴   
      e)60代の特徴    f)70代の特徴   g)世代別比較研究のまとめ   
    3)地域別比較研究   
      a)阪急西宮北口駅周辺地区   b)武庫川沿い地区   
      c)阪急夙川駅周辺地区    d)阪急甲東園駅周辺地区   
      e)今津地区    f)地域別比較研究のまとめ   
第4章 結論と課題
      行政、西宮市都市計画課の意見と現実のギャップ
引用文献・資料 

【論文要旨】
 阪急西宮北口駅から徒歩1分、最適なアクセス環境を持つ大型複合商業施設「アクタ西宮」が開業し、2年が経とうとしている。「アクタ西宮」は阪神・淡路大震災からの復興の象徴として行政主導で計画された西宮再開発の中心要素であり、新たな西宮の都市核となるよう多大な期待がかけられていた。しかし目玉とされるジュンク堂書店やコープこうべなどの大型店舗は順調な売り上げを記録するものの、一方で飲食店舗などの中小規模店舗は軒並み赤字経営に陥ったのである。
そのため西宮という地域において「アクタ西宮」という施設がどこまで受け入れられていて、またどのような不満があるかを西宮市民へのアンケートにより調査し、市民の考えと現状のギャップを明らかにしようと本稿の目的である。
これまで規模の大きな都市であるにも関わらず「西宮市」への研究、都市開発という視点からの研究は多くはなかった。そのため本稿では市民の生活行動から見た都市再開発の指標を示すことはできないだろうかと考えたのである。
 本論文の構成としては、まずは第2章で西宮市のもつ他の市とは異なる特性と歴史、そして「アクタ西宮」そのものの特性を考察した。
西宮市は大学の数や生徒数が他の市に比べて多く、さらに居住年数そのものも短い家族が多く、市内市外の転入転出率が高いなどの特異な性質を持つことがわかった。さらにJR西ノ宮駅や阪神西宮駅がそれぞれ離れた場所にあり、それぞれの都市核を独自形成していることも大きな特徴である。
「アクタ西宮」そのものも特定の世代を中心に経営展開しているわけでもなく、再開発の成功例である川西能勢口と比較考察して、「様々な世代別の人気利用場所を混在させてしまった」ことによって統一感や愛着間が薄れていることが判明した。
 第3章ではこれらをもとに市民アンケート分析を、世代別・居住地区別にわけて行った。ここから考察できたのは、市民は西宮市や「アクタ西宮」に関心はあるものの、全ての世代のニーズに応えようとしたり、土地そのものも不足していることもあって、「アクタ西宮」は「長時間滞在したい環境でない」という傾向が全般的に見られたことである。
またそのなかで「アクタ西宮」を小規模のデパートととるか、スーパーマーケットの延長ととるか、計画者の明確な意図が判らないままにされていて、利用者にとってイメージしにくく使いづらい施設となっているという意見も目立つ結果となった。世代別・地域別でも各カテゴリーにおいて利用施設や利用度が異なり、「アクタ西宮」から離れた地に居住する被験者ほどデパートとしての要素を重要視したり、年齢が高くなるほど中小規模店舗利用度が高く、また巨大店舗利用度が少なくなるなどのデータが得られたのである。
 第4章では結論として、行政側と利用者側との意識の食い違いと、これからの「アクタ西宮」の再開発のとるべき都市戦略を考察した。
行政の主張する「文教都市の主役とも言うべき学生のためのまちづくり」や「住民参画をより積極的に行う」といった内容はまだ具体性を持ってはいない。そのためにも交通網整備だけでなく、施設そのもののデパートらしさ、フロアごとの対象年齢層を決定するなどといった積極的な施策を行えるかが課題となってくるのである。

【主要参考文献】
インターシティ研究会(1997):「駅のまちづくり―ひと・まち・暮らしをつなぐ」、学芸出版社
高坂健次(1998):「地域都市の肖像〜西宮・ある40万都市の総合研究」、関西学院大学出版会
戸所隆(2000):「地域政策学入門」、古今書院
尾藤章雄(1995):「都市の地域イメージ」、大明堂
藤原健蔵(1997):「地域研究法」、朝倉書店


神戸大学・発達科学部・澤ゼミの内容