伝統芸能と村落コミュニティ-淡路人形芝居を事例に-  

                                        木村壮一郎 


 目次
1 はじめに
2 対象地域の概観
 1 人口 
 2 産業
 3 交通 
3 淡路人形芝居と村落コミュニティ
 1 淡路地域の人口動態
 2 淡路人形芝居の動向
 3 人口動態と人形芝居の動向の関係
4 淡路人形芝居保全策と村落コミュニティ
 1 保存団体
 2 クラブ活動  
 3 淡路人形浄瑠璃館
 4 座員の公務員化
 5 淡路人形芝居サポートクラブ
5 結び

 農林漁業の生産をめぐる経済的共同関係や、氏神祭祀に代表される社会的精神的共同関係を通じ、強い地縁的まとまりを有してきた村落コミュニティは、高齢化や人口減少といった数多くの問題を抱えており、そうした諸問題は人形芝居や神楽・祭りといった、村落コミュニティ固有の伝統芸能にも影響を及ぼしている。

第1章では研究の目的として村落コミュニティの抱える諸問題に歯止めをかけ、村落コミュニティの活性化する政策の提示を行うことをあげている。そしてそのアプローチの方法として兵庫県淡路島の淡路人形芝居を事例に、伝統芸能の隆盛衰退の動向と村落コミュニティの人口動態との相関関係を明らかにし、現在なされている淡路人形芝居の保全策をカギとして村落コミュニティを廃れさせない政策を探っていくと述べている。

第2章では対象地域となる淡路地域の概観を人口・産業・交通の側面から述べた。

そして第3章では第1節で淡路地域は兵庫県下でも人口減少及び高齢化が急速に進んでいる地域であり、産業の高次化も進んでおらず第1次産業が基幹産業となっていることを明らかにした。第2節では淡路人形芝居の衰退の動向を述べ、第3節でその相関関係を明らかにした。

それを受けて第4章では現在なされている淡路人形芝居の保全策を村落コミュニティ保全の側面から考察し、その長所及び問題点をあげた。

そして結びとして第5章では、村落コミュニティ活性化のポイントとして地域に根ざした教育指導の実施及び地場産業の雇用条件の向上を示した。そして官民一体となって村落コミュニティの状況を把握し、連絡を密にして保全活動を行う必要性があるとして結びとした。

(参考文献)

・淡路人形協会(1991)「国重要無形民俗文化財 淡路人形浄瑠璃」

・淡路文化協会・兵庫県文化協会(1985)「くにうみの島 淡路の歴史」兵庫県文化協会

・菊地俊夫・若林芳樹・山根拓・島津俊之(1995)「人間環境の地理学」開成出版

・新見貫次(1972)「淡路の人形芝居」角川書店

・新見貫次(1976)「淡路人形芝居」神戸新聞出版センター

・兵庫県(1986)「兵庫2001年計画 淡路地域計画」

・兵庫県商工部産業立地観光課(1997)「平成8年度 観光客動態調査報告書」

・兵庫歴史教育者協議会(1982)「兵庫歴史散歩1 -阪神・神戸・淡路・東播コース-」草土文化              

神戸大学・発達科学部・澤ゼミの内容