地域政策からみた地域経済の変容

       -和歌山県上富田町を事例として-

                          須内隆之


☆章構成

I.はじめに

II.対象地域の概観

III.地域政策

(1)町の基本計画

 a.基本計画策定の背景

 b.基本計画の内容

(2)農村活性化土地利用構想

 a.成立まで経緯とその内容

 b.町の構想の策定の背景

 c.町の構想の内容

(3)企業誘致政策

IV.地域経済

(1)果樹栽培中心の農業

 a.農業の概要

 b.梅の生産と加工

 c.差別化を図るみかん生産

(2)リゾート開発と観光業

 a.農村活性化土地利用構想におけるリゾート開発計画の経過

 b.町の観光業の現状と今後

(3)製造業と企業団地

 a.製造業者の実態

 b.上富田企業団地の現状

(4)公共投資と建設業

 a.建設業者の実態

 b.町財政と建設業

(5)地域労働市場の構造

V.まとめ


☆内容紹介

 都市化の問題、過疎化の問題の重要性が指摘されるようになり、「まちづくり」、「むらおこし」というような地方独自の視点での新しい試みがなされるようになった。これらの地域政策に対する研究は数多く行われたが、これまでの研究では、地域政策を地域変容の「きっかけ」としてしか捉えていないか、地域変容の原因の一つとしてしか見ていないものが多い。

 本稿ではこれまで行われてきた、地方自治体の「農業振興」、「企業誘致」等の個別の政策についての考察だけでなく、地域政策全体としてどのように地域経済に影響を与えている科を考察する。そのために『農村活性化土地利用構想』のような独自の地域政策の適用を受けながら、様々な分野にわたり町の将来像と進むべき方向、とるべき施策を設定した基本計画を策定し、実施している和歌山県上富田町を事例として取りあげる。

 具体的には、地域政策として『第2次長期総合基本計画』と『農村活性化土地利用構想』を中心に取りあげ、地域経済への影響を考察する。地域経済としては主に、農業、製造業、建設業、観光業を取りあげ、各業種を個別に検証した後、上富田町の地域労働市場をみていくことによって、上富田町の業種を越えた地域経済の実態を把握し、地域政策と地域変容の相互関係を明らかにする。


☆参考文献

梶田真(1997):「過疎山村における財政構造の変化と地域変容-岩手県九戸郡山形村を事例として-」『人文地理』49-3,89-102p

川久保篤史(1993):「市場構造の変貌とみかん産地の盛衰」『経済地理学年報』39-4,1-20p

澤 宗則(1993):「農村活性化に関する地域政策と地域変容の相互関係-和歌山県上富田町の農村活性化土地利用構想を事例に-」『日本研究』8,1-19p

全国農業会議所(1989):『農村活性化構想作成の手引き』,138p

半場則行(1991):「農山村における基幹産業の衰退と地域振興-福井県大野郡和泉村の場合」『人文地理』43-6,56-72p


神戸大学・発達科学部・澤ゼミの内容